11/07/2024 | Press release | Distributed by Public on 11/06/2024 19:42
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:石橋 知博)は、太陽光発電に携わる電気事業者向けにソーラーパネル上の積雪による発電量の低下を考慮した30分毎の太陽光発電量予測データの提供を開始しました。
昨今は発電所に適した場所が減っていることから、豪雪地帯でも設置が進んでいる状況です。しかし、パネルの表面に雪が積もると晴天でも発電量が大幅に低下するだけでなく、雪の重さでパネルが破損するトラブルも発生します。そこで、当社は2022年1月より提供している太陽光発電量予測をアップデートし、過去の発電量実績データと積雪深を含む1kmメッシュの気象データをAIに学習させた"統計モデル"を用いることで、ソーラーパネル上に積もった雪による発電量の低下を考慮した太陽光発電量予測を可能にしました。積雪予測には、雪質の影響を加味した独自の積雪解析モデルによる1kmメッシュの解析積雪深を使用します。これにより真冬の太陽光発電量の予報精度は当社比で約10%向上することを確認しています。
当社は、今後も電気事業者の皆様により良いデータを提供するため、気象の予報精度の改善や太陽光発電量の予測モデルの開発に努めていきます。
「太陽光発電量予測データ」に関するお問い合わせはこちらから |
https://biz.weathernews.com/2024pv/ |
当社は2022年1月から電気事業者に提供している太陽光発電量予測の"統計モデル"(※1)をアップデートし、太陽光パネル上の積雪による発電量の低下を考慮した太陽光発電量予測のデータ提供を開始しました。
発電事業者の過去数年分の発電量実績データと気象データをAIで学習させ、高精度な1kmメッシュの積雪予報を30分毎にインプットすることで、電力取引に適した30分毎の太陽光発電量を最大2週間先まで予測します。積雪予報を反映したことで、真冬の太陽光発電量の予報精度は当社比で平均約10%、最大30%向上しました(精度評価期間:2023年1〜2月)。
[Link]2023年1〜12月の豪雪地帯の太陽光発電量の精度評価(複数か所の平均)データはクラウドを経由してAPIで提供するため、企業のシステムとの連携が容易です。なお、専用ウェブサイトからCSVファイルのダウンロードも可能です。
積雪深を正確に予測するには、初期値となる積雪の実況データ(解析積雪深)の精度が重要となります。そこで、当社では独自に雪質の影響を加味した「積雪解析モデル」を開発し、高精度な解析積雪深を算出しています。そして、それを初期値としてインプットすることで、1kmメッシュの高精度な積雪予報を10分毎に生成しています(※2)。
[Link]1kmメッシュの積雪予報のイメージこの積雪解析モデルは、気温や降水、降雪、日射量のデータから熱収支モデルで推定する手法に加えて、雪質や圧雪の影響も考慮して積雪深を算出しています。さらに、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる積雪報告で補正することで精度を高めています。実況を把握する上で重要なアメダスの積雪観測は雪国を中心に約330か所、関東地方の平野部(標高150m以下)には10か所しかありません。太平洋側のほとんどの地域では実況把握が難しいため、当社では観測機器の不足を補うデータとしてユーザーからの積雪報告を活用しています。
このようにして算出した解析積雪深を用いることで、積雪予報は従来の当社予測モデルと比べて最大35%の精度改善が見られています(2023年11月10日〜12月14日の積雪深6時間先予測の2乗平均平方根誤差(Root Mean Squared Error)。日本国内で積雪深を観測している気象庁観測地点の全330地点で評価)。
[Link]従来と現在の新予測モデルの比較
データ種別 |
太陽光発電量予測 |
予測期間と更新頻度 |
72時間先まで(30分更新(1日5回更新も可))
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時間解像度 |
30分 |
提供方法 |
API提供、または専用ウェブサイトからCSVファイルをダウンロード |
太陽光発電量予測サービスは、電力取引に適した30分毎の太陽光発電量の予測データを72時間先あるいは2週間先までAPIなどで提供するサービスです。MSM(気象庁の気象庁メソ数値予報モデル)より約10%精度が高い1kmメッシュの日射量予測データを用いることで高精度に予測します(精度評価期間:2023年1〜9月)。
手法として、発電所の情報と高精度な1kmメッシュの日射量などの気象データから太陽光発電量を予測する"物理モデル"と、過去の発電量実績データと気象データをAIで学習させることでさらに高精度に予測する"統計モデル"の2種類を用意しています。
"物理モデル"に必要な発電所の情報というのは、発電所の緯度経度やソーラーパネルの容量、方位角・傾斜角、PCS(パワーコンディショナー)出力などです。例えば、基本的にソーラーパネルは真南に向けて傾斜角10〜30度で設置されていることが多いですが、緯度による太陽高度の違いや方位角の違いなどの設置環境が発電量に影響します。このような、設置環境やソーラーパネルの仕様の違いを予測に反映します。発電所の情報を入力するだけで予測データを取得できることから、これから新設する発電所でも運用開始と同時に活用できるというメリットがあります。
一方、"統計モデル"は、過去数年分の発電量の実績データが必要になりますが、発電所の緯度経度や発電量実績、当時の気象データをAIで学習させることで、"物理モデル"より高精度に予測することが可能です。このため、発電量の実績データが豊富にあり、稼働状況やメンテナンス状況の履歴情報が整っている場合には"統計モデル"を推奨しています。
なお、企業の既存の発電量予測や電力需要予測のシステムにインプットする気象データAPIが必要な場合も、1kmメッシュの積雪予報・積雪実況データ(※3)をはじめ、電力市場向けの気象データも用意しておりますので、ご関心のある企業の方はお問い合わせください。
▼お問い合わせはこちらから
https://biz.weathernews.com/2024pv/
当社は、太陽光発電量予測の精度向上を通して、FIT制度によらない市場売電やコーポレートPPA(電力購入契約)による再エネ供給事業をサポートし、再生可能エネルギーのさらなる普及と安定供給の実現を支援してまいります。