10/01/2024 | Press release | Archived content
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長:加藤 泰浩、以下 東京大学)と、TOPPANホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長CEO:麿 秀晴、以下 TOPPANホールディングス)は、2024年10月1日(火)に社会連携講座「サプライチェーンの全体最適の科学と実践」(講座長:松尾豊教授)を開設しました。
東京大学とTOPPANホールディングスは本社会連携講座を通じて、生産から流通・小売・消費までのサプライチェーン全体において情報とモノの流れを整流化するテクノロジーの開発・社会実装を推進することで、サステナブルな社会の実現を目指します。
流通小売業界において、サプライチェーン上に多くのステークホルダーがいる中で、実際の製品需要と生産計画などを正確に一致させることは難しく、製品の供給過不足により、フードロスや配送の無駄による余分なCO2の排出などが発生しています。これらに対して、統計手法やAIを活用した予測を用いる手段などは存在していますが、予測精度の低さに課題があります。また、製品の製造から消費、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクルを通じて、製品価値や環境負荷を正確に可視化することもまだ難しい状態です。
このような中で東京大学とTOPPANホールディングスは、社会連携講座を共同で開設し、高精度な需給予測を可能とするAI技術を核とする新たな手法を開発すると共に、その社会実装を目指します。
今回開設する社会連携講座は、人工知能/ウェブマイニング/深層学習を専門分野とする東京大学の松尾豊教授らの研究成果と、TOPPANグループの持つ流通小売り向けの販促支援やマーケティングのノウハウを掛け合わせ、サプライチェーンの最適化に資する手法の確立を目指すものです。
① 高精度な需給予測を可能にするAI技術の開発
企業の販売実績/広告・プロモーション/製品情報/顧客情報/物流情報等の販促データや、天候データ/経済指標/社会的要因等のマクロデータ等を活用し、高い精度で需給予測を可能にする技術構築を目指します。
② 需給変動の要因の自動探索を可能にする技術の開発
自然言語処理などを用いて、公開されている企業活動や世の中の動向のテキストデータからサプライチェーン上の需給変動の要因を探索する技術の構築を目指します。
③ 効果的な環境負荷低減施策の実現
生活者の消費に至るまでの総合的な環境負荷を明らかにすると共に、環境負荷低減のための行動変容を促す施策の実現に資する研究を行います。
講座名称: サプライチェーンの全体最適の科学と実践
設置部署: 東京大学大学院工学系研究科(本郷キャンパス)
設置期間: 2024年10月1日~2027年9月30日
研究目的: サプライチェーン上の適切な相手に適切な情報を伝え、情報とモノの流れを整流化することによってサプライチェーン全体最適を図ることで、フードロスやCO2排出量が削減されたサステナブルでふれあい豊かな暮らしの実現を目指す。実現のために必要なデータ分析・予測/シミュレーション・情報伝達等の技術を構築する。
共同企業: TOPPANホールディングス
担当教員: 松尾 豊(東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 教授)
TOPPANホールディングスと協働し、AI技術を活用してサプライチェーン全体の最適化を進めます。
この取り組みが、サプライチェーンを構成する様々な企業の競争力につながると同時に、資源の効率的利用、環境負荷の軽減に繋がると考えています。TOPPANホールディングスと連携し、持続可能な社会の実現に貢献できることを大変嬉しく思っています。
東京大学とTOPPANホールディングスは、国内のAI第一人者である東京大学の松尾豊教授と、需給最適化に関連するAI技術の研究を共同で進めてきました。サプライチェーン上で最終的な需要を決定する小売・消費者の関係に着目し、小売段階における需要と供給の最適化の基礎となる売上予測AIの研究を進めています。
以 上