Bank of Japan

10/21/2024 | Press release | Distributed by Public on 10/20/2024 23:07

金融システムレポート別冊「金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理」

2024年10月21日
日本銀行金融機構局

要旨

今回のアンケート結果では、現状、約3割の先が生成AIを既に利用しているほか、試行中を含めると約6割、試行・利用を検討している先を含めると約8割となっており、生成AIの利用が急速に広まっている。

生成AIの導入目的をみると、利用・試行中のほぼ全ての金融機関が「業務効率化/コスト削減」と回答している。また、主な利用分野としては、「文書の要約」、「文書の校正・添削・評価」、「翻訳」といった文書作成の補助や、「システム開発・運行管理」が挙げられている。生成AIは、一般的に文書作成やシステム開発といった分野に強みを持つとされており、金融機関業務との親和性が高いと考えられることから、労働生産性の向上を期待して生成AIを導入しているものと推察される。生成AI利用開始後の評価を尋ねたところ、「期待を上回る」あるいは「概ね期待通り」と相応にポジティブな声が聞かれた。

生成AIには、意図せぬ形での情報流出やハルシネーション(生成AIが事実と異なることをもっともらしく回答する)など、特有のリスクが存在するため、金融機関が利用を進めるに当たっては、こうしたリスクを認識して適切なガバナンス体制を構築する必要がある。この点、生成AIの管理状況をみると、7割前後の先が、クラウドにおける自社専用区画を利用し、生成AIによる入力内容の再利用や生成物のインターネット流出を防ぐ仕組みを導入しているほか、入力データに制約を設けている。他方で、生成AIの利用方針の明文化や、実務的なルールの整備、出力データの検証・評価といった項目については、5割程度の先が「改善の余地がある」または「検討中」と回答している。生成AIに関する技術革新が急速に進むなか、リスクの変化に応じて、運用ルールを継続的に見直していくことが求められる。

日本銀行から

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照会先

金融機構局考査企画課

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