11/18/2024 | Press release | Distributed by Public on 11/18/2024 01:32
体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科の秋吉遼子講師の研究がこのほど、英国Science Impact社の科学雑誌『Impact』で紹介されました。同誌は世界の大学、研究機関、国家及び地域の資金提供機関、政府、民間及び公共部門における主要研究出資者3万5000名の読者に向けて印刷版とデジタル版で配布されています。
今回紹介された秋吉講師の研究テーマは「災害時における公共スポーツ施設の避難所運営モデルの構築(Building an evacuation center management model for public sports facilities during disasters)」です。地震や自然災害発生時に被災者は、小中学校など地域の指定避難所を利用することが多い一方、教育の場は長期の避難先として運営するのは難しく、一定期間経過後は公共スポーツ施設などに移る場合が多くあります。公共施設を民間事業者が管理運営できる「指定管理者制度」が2003年に導入され、指定管理者と地方公共団体の間で管理業務に必要な事項を定める協定書を締結するのが一般的ですが、災害時の避難所運営については明記されていない場合が多く、実際に避難者が押し寄せた際には混乱が生じる可能性が高いと予測されています。
秋吉講師は小学生のころに阪神・淡路大震災で被災し、「スポーツをしている間はつらいことを忘れ、励みになった経験から、スポーツによる地域活性化に興味を持ちました。2016年に発生した熊本地震の後は被害の大きかった熊本県益城町を訪れて避難所の現状を知り、スポーツと震災、避難所をテーマに研究を続けることが使命だと感じました」と振り返ります。19年に笹川スポーツ財団の助成を受け、22年度からは科学研究費助成事業の基盤研究Cとして研究を続けています。「災害や紛争の被災者に対する人道支援活動のために策定された『スフィア基準』を避難所運営に取り入れ、南海トラフ地震に備えているといった例もありますが、日本全体を見ると避難所の質は決して高くはありません。インタビュー調査を重ね、さまざまな事例をもとに、自治体と民間が連携してどのように運営するべきか、被災から1カ月後、3カ月後にどのような対応が必要なのかといった時系列に沿ったモデルを構築したいと考えています。民間事業者の本来の業務であるジムの運営やスポーツ教室の開催といったノウハウを生かして、避難所でのエコノミー症候群や災害関連死などを防ぐ取り組みも考えたい」と展望を語っています。
『Impact』の電子版は世界の学術誌ポータルサイト「Ingenta Connect」で閲覧が可能です。https://www.ingentaconnect.com/contentone/sil/impact/2024/00002024/00000002/art00029